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家電量販店を出たのは閉店時間すれすれだったから、22時手前だろう。
こんな時間でも駅前のスターバックスには空席はひとつしかないのだから、都会というのは不思議だ。鬱陶しかった梅雨も明け猛暑への階段を着実に駆け上がっている今、夜といえどテラス席は快適とは言いがたいだろうに、それでもひとりの女性がゆっくりと腰掛けくつろいでいる。
この店の何が斯様に人を引き寄せるのだろう。私の職場は都内有数の繁華街で、夜ともなれば「ギラついた」人々のために存在するような場所にあるが、そんな「意識高い」街では、私の知る限りで、半径1km以内、徒歩10分圏内に4店舗のスターバックスがある。駅構内に1店舗、駅直結のビルの2フロアに別々に2店舗、そしてそのビルの目と鼻の先に1店舗。
最近は自宅の最寄り駅でも、改札を出て1店舗、3分歩いて1店舗、というような具合だ。
最寄り駅はともかく、職場付近については、ここまでくるともはやホラー的だなと思わなくもない。これほどに「都会らしさ」に囲まれていると、なんだか得体の知れない敗北感がある。それが誰の、何に対する敗北なのかは、うまく言葉にならない。田舎から出てきた私の、都会の景色に対する心の敗北なのか、都会が絵画的なまでに都会らしくあることの、生活が感じられないことの敗北なのか、あるいはそれらは同一のものか。
「都会らしさ」という言葉を突然使ったが、そもそもそれはどういうものなのか。私の心が勝手に感じているにすぎないのは確かだけれども、シアトル系コーヒーショップチェーンが複数店舗あるような街の様相を「都会的」と形容したくなるのは、どういうことだろう。
そんなことを考えながら、駅に近く、デカフェを頼めるから、という理由でこの店に入って、買ったばかりのPOMERAで文章を打っている。私も結局この光景を構成するひとりなわけだ。明日は水曜日。

 

というわけで衝動買いしたポメラを一刻も早く試してみたくて、その日のうちに日記がてら書いてみた形ばかりの文章です。これでおよそデフォルトのフォントサイズ(24dotというらしい)でスクロールせずに済む1ページ分です。細かな便利機能は使いながら覚えていこうと思います。